プログラミングは教わらなきゃできないと思っている人達

ASCIIにJavaの入門書としてはどれが最適か?という対談が載っていた。
http://ascii.jp/elem/000/001/227/1227746/

この中で面白いと思った記述がある


矢澤: 企業の新人研修をやっていると、“ITが好き系”と、“しょうがなくITに入った系”に生徒が分かれるんだよね。新人以外では、“ほかの言語やってた人”っていうのがいる。

鹿野: IT好きの新人っていうのは、学生時代に何らかの言語でプログラミングを自分でやっていた人なのでは?

矢澤: いや、知識も経験も特にないしプログラム書いたことはないけどITに興味はある、という気持ちでIT業界にきている人たちがいるんだよな。新人研修だと、そういう人たちと、ほかに行くところがなくてIT業界に来ましたっていう人たちと、きれいに2つのグループにわかれるんだよ。

「しょうがなく」のグループはまあいいとして、問題は「ITが好き系」である。彼らはぼんやりと「プログラマ」になりたいという思いは持っているものの自分でプログラムを書いたことはない。この根本的な原因は「プログラミングはきちんと誰かに教わらないと出来ない」という思い込みがあるのではないか、という仮説を持っている。

ちょっと前に、Qiitaで「オンラインジャッジサイト一覧」という記事を書いたことがあったが、ここでやっていける人は教えなくても自分でやっていける人だろう。
http://qiita.com/shibacho/items/20f6eee42083c620b556

こういうサイトを見るにつけ、今は事情が恵まれてるなと思っていたのだが相変わらず状況は改善していないようである。プログラマとして仕事をしている人は多かれ少なかれ独学で本を読んだり、サイトを探していたりしていると思うが*1、そうなるためのステップとしては「誰かに教わらないと出来ないのでは?」という思いが根強くあるのでは、と思う。

昔はベーマガなんか読んで写経のようにプログラムを打ち込んでいれば、プログラムの構造はある程度わかったようなもんだが、今はちょっと複雑化しているし昔と違っていきなりBASICが立ち上がったりすることもない。必ず標準で入っているプログラム処理系としてJavascriptが挙げられることもあるが*2JavascriptCanvasでお絵かきといってもBASICのLINE文ほど気軽にかけないし、基本コールバック関数だから若干敷居が高い気がする。

それはさておき、こういう「なんとなくプログラミングやってみたいけど教わらないと出来ない」と考えてる人達にたいして「そうじゃないんだよ」と伝えるためにはどうしたらいいんだろうか。「○○の始め方」で検索すると山のように引っかかるが、多分彼らが求めているのはこういうハウトゥじゃないんだろう。そもそも開発環境整えるので疲れちゃうって説もある。「Androidアプリ作るからJavaやらなきゃいけない」と考えている人はモチベーションがあるからかなりいい方で、その他の人達にはどう言えばプログラマになれると伝わるのだろうか。

プログラミングは敷居が低い。パソコンとインターネットさえあれば、「自分はプログラマだ」と思った瞬間に必要な情報はすべて手に入る*3。ここまで言って上のオンラインジャッジサイトやってごらん、といってもやらない人は多分やらないだろう。もうそういう人は無理なんだろうか。

私自身は大学時代に習作として非公開ではあるがDDRのクローンゲームを作って、プログラミングってやれば出来るじゃん、と思ったクチである。一回こういう成功体験があれば全然違うんだろうが…
なんてことをつらつら考えたのでした。

*1:Stack OverflowやプログラマQ&Aサイトのコード片のコピペで日々を凌いでいる人を除く

*2:https://www.pitecan.com/papers/ProSymSummer2006/ProSymSummer2006.pdf (PDF注意)

*3:書かれるコードの品質の良し悪しはあるが、それはまた別の話

8月の読書メータまとめ

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2293ページ
ナイス数:39ナイス

ノーベル平和賞で世の中がわかるノーベル平和賞で世の中がわかる感想
解説量の増減はあるもののすべての受賞者について1ページ以上の解説をつけているのはさすがの一言。すべての受賞者となると扱っている範囲が広いしページも限られているのでこれだけで世の中わかろうとするのは難しいですが、ノーベル平和賞を軸とした近代史の入門書としてはいいと思います。ハルノートのハルさんが受賞してるってのは知りませんでした。
読了日:8月26日 著者:池上彰
韓流経営 LINE (扶桑社新書)韓流経営 LINE (扶桑社新書)感想
元々ハンゲームやネイバーが日韓の掲示板を運営してたことを知るものとしてはLINEが日本発と言い張るのは無理があるよなぁ…と思ってました。この本を読めばLINEが世界に広がる戦略と、それは普通の日本企業には無理なんじゃないかなと思わせられます。 日本のLINE社に務める社員はLINEの詳細なトラフィックデータにアクセスできないとか、ホリエモンのLINEを支えるライブドアの人達への証言は面白いです。最後の「もしライブドア事件がなかったら優秀な技術者の受け皿になっていたか?」という問いは個人的には少々疑問です。
読了日:8月23日 著者:NewsPicks取材班
居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫)居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫)感想
本書の著者が書いた「すし天ぷら蕎麦うなぎ」が面白かったのでこれも読んでみました。居酒屋の業態からよく来る客を軸にして今にも繋がる江戸文化を眺める話です。お通しは昔はなかったとか、飲食屋を減らすために幕府行った規制や規制緩和の話、また均一料金で飲める店が流行ったり、4文銭を発行しすぎたがためにインフレを起こしていたが豆腐の値段はほとんど変わらなかったなど興味深い話が満載です。歴史トリビアとしても楽しめますが、著者が余計な解釈を加えていないために読みやすい本だと思います。
読了日:8月22日 著者:飯野亮一
無限論の教室 (講談社現代新書)無限論の教室 (講談社現代新書)感想
0.999...=1の...の部分の解説に納得が行かない人にオススメ。「数学ガール」のゲーデル不完全性定理とゴールは似ている部分はあるが、あちらはガチガチの数学的な解説でこちらはなるべく哲学的な立場から解説を試みようとしている点が違う。どちらにしても難しいがサイモンシンの「不完全性定理」よりは平易に書かれてると思う。哲学の本となると過去の哲学者の言葉を平易に書こうとしてエッセンスが削ぎ落とされ誤読の再生産になりかねない本が多いが、その点でこの著者は信頼がおけるのではと思う。
読了日:8月16日 著者:野矢茂樹
人生エロエロ (文春文庫)人生エロエロ (文春文庫)感想
みうらじゅん氏の著作は何作も読んでるとかぶっている内容も結構あるわけですがそれでも面白い。一つ一つのコラムは1ページ半なので軽く読めます。阿川佐和子との対談で言っていた男女全体会議ってなんとか実現できませんかね
読了日:8月15日 著者:みうらじゅん
イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」 (講談社+α新書)イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」 (講談社+α新書)感想
テレビはスポーツとニュースしか見ないのにこんなこと言うのもなんですが、近年のテレビの「外国人から見てここかすごい日本」とか、逆に「外国はここがひどい」的な番組をほぼ毎日やってる状況に嫌気がさしてました。この本は評判がよかったので読んでみましたが、日本がやるべきはそういう外国とのアンフェアな比較やステレオタイプな分析にひたる(Woolly thinking)ではなく、数字を元にした冷静な分析であるという提言に賛同します。こういういい本を書いてくれる外国人の方がいる時点で日本は恵まれてると思います。
読了日:8月10日 著者:デービッド・アトキンソン
アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)感想
AVにまつわることをポルノ映画から遡ってまとめた本。ハード(カメラ,VHS,DVD)が変わったからソフト(出演女優、演出)が変わり、流通が変わっていった変遷を書いている。最近AV業界の違法斡旋で本番しない建前であるというのが驚きのニュースとして取り上げられたが、この本を読むと歴史的な経緯であることがよくわかる。「わいせつ」の定義が警察や司法の手に委ねられてるため、いびつな形で発展していったこともわかる。硬い文章に対する不評もあるようだが、個人的にはAVを軸とした映像作品のまとめ本として興味深く読めた。
読了日:8月8日 著者:藤木TDC
日本会議の研究 (扶桑社新書)日本会議の研究 (扶桑社新書)感想
日本会議という組織の源流から始まり、日本会議のキーパーソンのつながりや、新しく入ってくる人達が学生運動の2世3世であることなどを説明している。とにかく情報の裏とりが丁寧な印象を受けた。それでいて学術的な厳密性にこだわってないので読みやすかった。日本国憲法に書いてる手続きで憲法を改正することこそ、憲法を認めたのだという「反憲」という考え方は初めて知りました。あと靖国問題靖国神社と政治の結びつきの問題こそが重要であり、A級戦犯合祀は付随する問題であるという考え方を知りました。
読了日:8月2日 著者:菅野完
毒蝮流! ことばで介護 (講談社+α新書)毒蝮流! ことばで介護 (講談社+α新書)感想
おそらく唯一無二の存在であろう毒蝮三太夫の高齢者(老人)に対する接し方の本。「子ほめ」ならぬ「親ほめ」「爺婆ほめ」といった感じの本。個人的には景気が悪くなってから社会に出たせいか、いらぬ罵倒を親にすることも過去にはあったのですが、これからは「今のいい世の中を作ったのは父母のおかげだよ」という言葉をなるべくかけて上げたいと思います。「絆」なんて大上段に構えたものでなく「かまい合い」が重要だという提言は心を打つものがありました。
読了日:8月1日 著者:毒蝮三太夫

読書メーター

Win10のブートメニューの設定の仕方

以前のエントリでWin10をインストールした話を書いたのですが、これだとWindows Setupというのが起動オプションとして残ってしまいます。
これをいじるにはbcdedit.exe というツールを使うそうです。Windows Vistaから加わった機能のようですね。
わたしゃサーバー管理者でもないのになんでこんなことやらにゃイカンのだ…

それはそれとしてbcdedit はコマンドラインツールです。
スタートメニューから右クリックしてコマンドラインプロンプトを管理者権限で実行します。
その後ブートメニューを消すには詳しくは以下のホームページを御覧ください
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0905/15/news111.html

もっと詳しくbcdedit について知りたければMicrosoft Technetを見てください
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc709667(v=ws.10).aspx

しかし識別子が嫌がらせレベルに長い…こういうのくらいGUIツールつけてもバチあたらないと思うんだけどサーバー向けだからコマンドラインだけでいいやって話なんですかね。MS的には

Windows10再インストール個人的メモ

ねんがんのSSDを手に入れたぞ
http://kakaku.com/item/K0000848240/

今まで使っていたWin10(Win7からの無料アップデート済)を使ってこのSSDから起動しようと思ったのですが、簡単には行きませんでした。メディア作成ツールを使ってUSBメモリから起動してパーティション切って…という手順を踏むのが普通なのですが、古めのPCでBIOS/MBR形式でしか起動しないということもあって、うまくインストールできませんでした。以下の画像のようなエラーメッセージが出ちゃいました。ブート場所が見つからんとかなんとか。

というわけで以下の戦略を取ることにしました。

1. USBメモリから起動する
2. SSDの内容全部をMBRフォーマットする(diskpart使用)
3. USBメモリの内容をSSDにコピーする(robocopy使用)
4. パソコンの電源を切ってSSDから起動する

インストールが終わった後は、毎回Win10を起動するかSetupにするか聞かれるようになるのですが、それについては今回のエントリでは割愛します。
(2016/08/19追記: 起動時の話についてこちらに書きました。)

まず最初に2. のSSDの内容をコマンドラインツールdiskpartを使ってMBRフォーマットするですが、以下のページが詳しいです。
http://freesoft.tvbok.com/tips/efi_installation/diskpart_gpt_mbr.html
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dn336946.aspx

しかしこのページにはディスクのフォーマットやドライブレターの割当をdiskpartからやる方法が書いてません。そこら辺は以下のページが詳しいです。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0812/26/news119.html

これによって、USBメモリがC:\以外、SSDがC:\に割り当てられるのが理想なんですが、USB起動した時にUSBメモリがどこに割り当てられるかは正直よくわかりませんでした。

次に3.のrobocopyでUSBドライブの内容をSSDにコピーします。ここではUSBメモリのドライブレターをD: SSDのドライブレターをC: とします。


robocopy d:\ c:\ /MIR /R:1 /W:5
/R:1 はコピーが失敗した時の再試行回数を1回、/W:5 はコピーが失敗した時、何秒後にリトライするかを指定するパラメータです。詳しくはMSのtechnetを見てください。ちなみにデフォルト値は100万回再試行、30秒後にリトライというわけわかめな値になってます。どういう判断だ。

これでめでたくコピーが終われば、一旦インストーラを終了しパソコンの電源を切ってからUSBメモリを引っこ抜けばセットアップができるはずです。Windowsが起動してからあれやこれやのインストールをしなきゃいけないという人も多いでしょうが、それはOSが起動した後の話なので別の人に譲ります。

7月の読書メーター

2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2317ページ
ナイス数:18ナイス

オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜感想
いい意味で想像を大きく裏切ってくれた本。読書メータのレビュー等々がなければ読もうとは思わなかっただろう。面白いが本筋とは関係ない話は注釈に追いやってくれてるので本文が非常に読みやすく、また(限界はあるだろうが)オタクコミュニティに詳しくない人でもそこそこ読める本になっている。サークルクラッシャーオタサーの姫が別物を指すとは知らなかった。「リケジョは姫か」などタイトルだけで興味をひく考察。女性を囲む時の手積み麻雀の雀卓上での争いや二人羽織の話などは面白かった。次回作「ニコ生の姫」もあればぜひ期待です。
読了日:7月31日 著者:ジャンヤー宇都
情報の強者 (新潮新書)情報の強者 (新潮新書)感想
この著者は「いま世界は」でたまに見るくらいで、専門についても実はよく存じあげないのですがネットのみの情報では危ないというコピーに惹かれて読んでみました。情報弱者(情弱)という言葉は好きではないのですが…情報は何を捨てるかが大事でSNSのタイムラインだけにニュースを頼るのは危ないってあたりは同意します。紙の資料も実は不要ってのも同意します。が、情報の出し方については千差万別だと思うのであまり参考にならないと思います。あと2016年にHTMLの装飾をFONTタグでやると書いてあるのは関心しませんなぁ…
読了日:7月31日 著者:伊藤洋一
「原因」と「結果」の法則「原因」と「結果」の法則感想
自己啓発本の元祖っていうことで短いし読んでみました。キリスト教的価値観が強い気もしますが内容にはまったくもって異論はないです。著者自体が不運に見舞われた人ってこともあり、自分を鼓舞する意味で書いたのかもしれません。ただ、内容的には「運」について思索した色川武大の「うらおもて人生録」の方が東洋的考えで読みやすいかなぁと思います。
読了日:7月30日 著者:ジェームズアレン
もっと知りたい銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-2)もっと知りたい銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-2)感想
前作の「銀行窓口の向こう側」が面白かったので読みました。前作同様ナニワ金融道的な融資にまつわる悲喜こもごもや、銀行内の出世レースの話もありましたが、経営者としての立ち居振る舞いでどのように銀行員に見えるのかという視点があったのが勉強になりました(私は経営者ではありませんが)。書いてあるトピックがいつ頃の出来事なのか、またいつ頃雑誌に載った話なのか日付が無いのが唯一残念でした。が、面白い本なのでオススメ。
読了日:7月28日 著者:神保広記
チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理感想
表紙のチューブ1cmってのはちょっと大げさだが、料理のレシピってのは料理の素人が読んで曖昧な部分があるなと思う人には文系理系関係なくオススメしたい本です。薄い味付けから濃い味付けは容易だがその逆は難しいという当たり前のことから、料理のPDCAサイクルを回すというビジネス本みたいな観点まで書いてあります。料理はやってみたいけど続かないという人にもいいんじゃないでしょうか。
読了日:7月26日 著者:五藤隆介
いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学感想
この本読む前までは行動経済学って、人の行動を強引に説明するなんかいい加減な学問だなと正直思ってました。これは具体的事例に基づいて貧困、仕事先延ばし、ダイエット等々の問題を同じフレームワークで説明している本です。この本ではスラックと呼んでいる経済的余裕や病院施設の余裕がいかに重要かという話をしていますが、身近なところで言えば強引な給料天引きの貯蓄などがいかに重要かわかる本です。認知資源とか処理能力の分配という個人的には新しい概念を知ることのできた本でした。
読了日:7月26日 著者:センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール
すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ: 江戸四大名物食の誕生 (ちくま学芸文庫)すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ: 江戸四大名物食の誕生 (ちくま学芸文庫)感想
それぞれのトピックだけでも面白いが4つも入っていてお得な1冊。寿司といえば押し寿司だったので、握り寿司って案外最近なのねと思った内容でした。寿司職人に修行が必要かって議論が最近ありましたが、冷凍技術が発達した今だとまあ眉唾かなと思いました。こうして眺めてみると天ぷらに天つゆとか、すしにわさびとか、薬味に対してそばの果たした役割って大きいんだなと感じます。二八そばの語源はそば粉の割合じゃなく2×8=16文の価格であろうと考察している箇所は説得力があります(二六にうめんってのもあったそうです)
読了日:7月20日 著者:飯野亮一
銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-1)銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-1)感想
まず読み物として面白い。この前に読んだ「大解剖 日本の銀行」という本が日本の銀行の現状を憂う大上段に構えた本だったが、これは対照的である。著者の実話を元に融資をめぐる人間模様の悲喜こもごもが描かれている。また時代背景がよくわかる作りなので、バブル崩壊後の貸し渋りに突入していった銀行の様子もよくわかる。だがいわゆる昭和的な価値観で結論を出してる小話もあるので不快になるものもあるかもしれない。それに目をつぶっても読む価値はあると思う。なお、P279の歌手のエピソードは元銀行マンの小椋佳のことだと思われる。
読了日:7月12日 著者:神保広記
熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教 (文春新書)熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教 (文春新書)感想
保守、リベラル、ネオコン福音派ティーパーティーの由来といった、なんとなく知ってはいるがはっきりとした定義がわからなかった言葉がちゃんと説明されていたので個人的には読みやすかった。アメリカ的な愛国心、平等、偉大なアメリカといった言葉が日本人的な感覚とはかなり違うなという印象でした。しかし読後の疑問としては、現在のトランプ旋風が宗教票とあまり結びつかないな、という気もしました。時期的に難しい話題ではあるとは思いますが…専門ではないのでこの分析がどの程度のものなのかわかりませんが面白かったです。
読了日:7月6日 著者:松本佐保
センサーでなんでもできる おもしろまじめ電子工作センサーでなんでもできる おもしろまじめ電子工作感想
結構前提としている知識は多く、C/C++PHPJavaScriptの知識が必要。要は「ソフトウェアは自信あるけど電子工作はやりたいけどできてないな…」って人向けの本です。最近はハンダ付けが完全に不要で回路作れるってのは知りませんでした。暑くなったらクーラーの電源入れるってのは自分でも実用性がありそうだったので機会があれば挑戦したいです。
読了日:7月3日 著者:

読書メーター

BMSフォルダを非圧縮zipにまとめるバッチファイルを書きました

使用には7za (7-zipのコマンドライン版)が必要です

BMSファイルが大きくなってくるとバックアップを取るのに大きな障害となるのがなんといってもファイルの多さです。
最近は複数譜面や扱える音ファイルが増えたせいもあり、最近では一つのBMSに300〜500くらいのファイルが使われることも珍しくなくなってきました。
まとめてrarファイル等で圧縮するとファイルの多さで時間をくっています。また展開も同様です。

このバッチファイルでは、それぞれの曲ごとに無圧縮ZIPを作ることでBMSの取り回しの不便さの原因であるファイルの多さを少しでもなくそうという狙いのものです。なぜ無圧縮か、というとファイル数の削減が目的だからです。さらに圧縮したいって人は、このバッチファイルで圧縮した後に別のアーカイバで圧縮することを想定しています。

現在では次世代BMS規格bmsonが策定中です。これは一つの音ファイルの途中からキー音が鳴らせるというもので、うまく普及すれば大幅なファイル数の圧縮になることが期待されます。
個人的にはGitHubで作者が活発に開発しているraindropに期待してるんですけどね。なにせ同名のBMSの有名曲があるせいか知名度はイマイチです。デフォルト画面のスクラッチレーンが本家にあまり似てないというのも敬遠される理由の一つかもしれません。
機会があったらraindropの使い方とか書いてみたいですね。

6月に読んだ本まとめ

2016年6月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3743ページ
ナイス数:22ナイス

メジャーリーグスタジアム巡礼メジャーリーグスタジアム巡礼感想
メジャーの全30球団のホームスタジアムを写真、注目選手、注目試合などとともに紹介しています。球場の歴史、周辺のスポット、グルメ、アクセス、治安なども紹介しているので旅行の際の参考にもなります。写真は全体を俯瞰したものも含め寄せ集めたものですが、どれも美しくグラビア本としても価値があります。なるべく日本人びいきにならないような配慮も見受けられます。が、テキサスレンジャーズの注目選手がダルビッシュになっていたのは、TEXの生え抜き選手不足を感じました。いつかはメジャーを観戦したくなる一冊。
読了日:6月26日 著者:AKI猪瀬
GitHub実践入門 ~Pull Requestによる開発の変革 (WEB+DB PRESS plus)GitHub実践入門 ~Pull Requestによる開発の変革 (WEB+DB PRESS plus)感想
GitHub使って開発している会社に置いてもいい本かなとは思いました。個人的にはプルリクで見られる差分はテキストだけでなく画像や地図なども可能だというのが発見でした。しかし、CVSSVNと触ってきた身としては分散バージョン管理なのでコミットメッセージも粒度が細かくし易い(コミット毎にサーバーと通信しない)とか、ローカルブランチ・リモートブランチ等々の概念に触れていないのが残念です。とりあえず次はLearnGitBranchingやろうかと思います。
読了日:6月25日 著者:大塚弘記
声優Premium[プレミアム] (綜合ムック)声優Premium[プレミアム] (綜合ムック)感想
宮村優子インタビューでエヴァの企画が最初はOVAで、宮村→レイ、林原→ミサト、三石→アスカという配役でオーディションを受けた裏話や、近々引退すると宣言してるキングレコード大月のインタビューが面白かった。昔話だから、今だから言えるって話がもっとあってもよかった…と思ってたのだが十分裏話に感じる人も結構いるみたいなので驚き。
読了日:6月23日 著者:
大解剖 日本の銀行―メガバンクから地銀・信金・信組まで (平凡社新書)大解剖 日本の銀行―メガバンクから地銀・信金・信組まで (平凡社新書)感想
銀行に批判的な目から見た銀行入門といった趣の本。自著をそこらで参照させたりとやや我田引水的な印象はあるものの、周りの銀行員から聞いた話とそんなに遜色ない内容に思える。今は国債の利回りがマイナスになってきたので、この本に書かれている前提が大きく崩れているのだが、これから銀行、信用金庫、信用組合がどうするのか注目していく必要があると感じました。
読了日:6月20日 著者:津田倫男
自閉症とラノベの社会学自閉症とラノベの社会学感想
いろんな学術雑誌に掲載した文章を集めているせいもあるだろうが、著者が「自閉症」をどう定義しているのかわからないまま読み終わってしまった。どうも「内向的で言葉を額面どおり受け取ってしまう空気の読めない人」程度を「自閉症」と呼ぶならば言い過ぎなのではと思った。タイトルを刺激的にするために敢えて「自閉症」という言葉を使ってるのかと思いきや東田直樹氏に触れているあたり、著者は自閉症の論じ方が乱暴すぎなのではと感じた。ラノベについては涼宮ハルヒ以降あまり詳しくない人の感想でした。
読了日:6月19日 著者:竹中均
ニュルンベルク裁判 (中公新書)ニュルンベルク裁判 (中公新書)感想
東京裁判を直に扱った本だとどうしてもイデオロギー色が強くなりがちだと思うので、戦後裁判のモデルケースとなったこの本を読んでみた。ニュルンベルク裁判でも判決は「勝者の理論」じゃないか、という批判はあったそうだが、一方的な断罪、全部赦す、裁判をするという3つの選択の中では裁判をするのが最も世論を納得させるにはよかったとの話。国際裁判といえども当時の世界情勢や、戦勝国の思惑が大きく働くというのがよくわかる一冊でした。ただ入門書なので深く知りたいなら別の本も必要。
読了日:6月18日 著者:アンネッテ・ヴァインケ
はじめてのLisp関数型プログラミング――ラムダ計算からリファクタリングまで一気にわかる (Software Design plus)はじめてのLisp関数型プログラミング――ラムダ計算からリファクタリングまで一気にわかる (Software Design plus)感想
オブジェクト指向言語(OOP)プログラマに向けた関数型言語プログラムのススメ。OOPと関数型って教義みたいなもので、著者はなるべくフェアになるようにそれぞれの長所短所を比較している本なのだが、現在の主要な言語はOOPと関数型のいいとこ取りしている物が多いので(map,reduce,closure等々)、あえて純関数型言語使おうという気にはなれなかったかな。関数型言語そのもののわかりやすさで言えば「プログラミングの基礎 (Computer Science Library)」の方がよかったです。
読了日:6月14日 著者:五味弘
うらおもて人生録 (新潮文庫)うらおもて人生録 (新潮文庫)感想
読書メータでお気に入りの人のレビューでこの本を読み始めましたが、この本に出会えて本当によかったと思える内容でした。劣等生に向けた本とのことですが、学業だけでなく就職、仕事等々で挫折した人に是非読んでほしい本です。ヘタな自己啓発本よりも胸にすっと入ってくる内容でした。
読了日:6月11日 著者:色川武大
メジャーの流儀 ~イチローのヒット1本が615万円もする理由~メジャーの流儀 ~イチローのヒット1本が615万円もする理由~感想
想像を絶する肩透かしの本。特にP39で和田毅に「わだたけし」とルビを振ってるのは、この本全体の信ぴょう性が疑われるレベルの誤植。副題を見て「なぜMLB不良債権化するリスクをおかしてまで高額複数年契約を結ぶのか」というのを読みたかったのだが、そのようなことはまったく書いていない。というか副題の答えも書いてない。全体的にフルカウントとかのコラムの焼き直しが並べてあるだけで、ここ3年ほどMLB見てる人なら知ってることばかり。あと日米野球摩擦の章で「田澤ルール」に触れてないのは大きな手落ちと言わざるを得ない。
読了日:6月9日 著者:古内義明
ウォール街のアルゴリズム戦争ウォール街のアルゴリズム戦争感想
「フラッシュボーイズ」よりも扱ってる歴史は広いのだが、読み物としてはあっちの方が面白い印象。巻末の解説1でも書いてある通り、フラッシュボーイズより書いてあることは正確なんだろうけど、出てくる単語の範囲が幅広いのでやや難解。人工知能分野では最近シンギュラリティって曖昧な単語が使われますが、この単語を生み出したレイ・カーツワイルは金融市場に人工知能を持ち込むチャレンジをした人だそうで。そりゃ金融市場に限ってはもう人間はコンピュータに追いつけないと思います。
読了日:6月7日 著者:スコット・パターソン(ScottPatterson)
自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心感想
何を言っても陳腐になるので感想は書かない
読了日:6月4日 著者:東田直樹
跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること感想
書いてあることを読むと自分のことも書いてあるようで、自閉症というのは程度問題なんじゃないかと思うようになりました。
読了日:6月4日 著者:東田直樹
竹熊の野望 インターネット前夜、パソコン通信で世界征服の実現を目論む男の物語 (立東舎)竹熊の野望 インターネット前夜、パソコン通信で世界征服の実現を目論む男の物語 (立東舎)感想
1993-96年のEYECOMに連載されていたものを単行本化。この本の連載がされていた頃はちょうどパソコンに触れてなかった時期なのですが、古きよきアスキーの企画って感じでいいですね。ラストのストーリーは随分と強引な終わり方だなと思ったら1回目でちゃんと伏線張ってたのには感心しました。
読了日:6月2日 著者:竹熊健太郎

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