10月に読んだ本まとめ

2016年10月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2261ページ
ナイス数:18ナイス

街場の五輪論 (朝日文庫)街場の五輪論 (朝日文庫)感想
小池都知事就任のあたりから、五輪の最終プレゼンの頃とは雰囲気が変わってきましたが面白い本でした。この本を読んでJOCシンガポールの謎のコンサル会社に成功報酬を渡していた事件の続報が聞こえてこないな、と思って調べてみましたが、まさにこの本が出たタイミングから先に全く進んでいないようでした。マスコミが五輪に対して自由にものが言えないのは情けないな、と言うのは確かです。別に五輪に限った話じゃないですけど。
読了日:10月31日 著者:内田樹,小田嶋隆,平川克美
不格好経営―チームDeNAの挑戦不格好経営―チームDeNAの挑戦感想
DeNAはモバゲーの会社だと思ってたので、ネットオークションに源流があるとは知らない程度の知識で読み始めました。この本は2000年代のネット(ブログ誕生以前)やモバイル環境(iモードガラケー全盛時代)を知った上で読まないとピンとこない感じがします。個人的にはモバオク開発までの創業秘話的な部分が一番面白く読めました。ベイスターズ買収の話をもうちょっと読みたかった気がしますが南場氏はあまり深く関わっていないようで記述が少なかったです。
読了日:10月26日 著者:南場智子
それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実 (小プロ・ブックス)それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実 (小プロ・ブックス)感想
当初の目的はLinuxを作ったLinusがどういう人なのか、Linuxがどのようにして出来たかの詳細を知りたくて本書を読んだのですが、それ以上に面白い内容でした。特にソフトウェアの知的財産権についてとLinusGPLGNUをどう思っているか、といった内容は読み応えがありました。この本のタイトルがそのまま著者のメッセージですが、付け加えるなら「興味はお金では買えない」というのがこの本の強烈なメッセージでした。しかしGNU Hurd(名前は出てませんが)ってそんな昔から不完全なOSとして名高かったんですね
読了日:10月22日 著者:リーナストーバルズ,デビッドダイヤモンド
赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学講義録なのだ!赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学講義録なのだ!感想
みんなバカについて語っているかと思いきやあまり赤塚先生との関係はあるようでないような…泉麻人の赤塚研究は面白いですが、特にみうらじゅん久住昌之は他でも読める内容の焼き直し感はあります。それが悪いわけではないですが…。ただ三島由紀夫が「劇画における若者論」というエッセイで手塚治虫を貶し赤塚不二夫を賞賛する文章を書いていたというのはちょっとした発見でした。 https://goo.gl/6rr6x7
読了日:10月18日 著者:泉麻人,みうらじゅん,久住昌之,会田誠,鴻上尚史
肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))感想
50年も前の本にあって古さを感じさせず、食から欧米文化を読み解くというのはむしろ新鮮ですらある。欧米について、キリスト教の理解から入っていくよりもこの方が納得感があった。労働すればするほど生産力が上がる日本の稲作は、ある程度以上は頑張っても家畜の生産が上がらない欧米と比較しており、昨今の長時間労働の問題にもつながっているのではとも感じた。最後に日本特有の同調圧力の存在にも触れているが、「空気の研究」あたりもまた読み直したくなる内容でした。
読了日:10月14日 著者:鯖田豊之
話すだけで書ける究極の文章法 人工知能が助けてくれる!話すだけで書ける究極の文章法 人工知能が助けてくれる!感想
この本の新しい所は「何をしゃべっていいのかわからない」というのが音声認識アプリケーションの弱みだと思われていた所に、「音声入力は頭の中の『見える化』である」という考え方を吹き込んだことだ。今後音声入力が仕事術として定着すればこの本がターニングポイントとなったとなるし、音声入力が普及しなければやはり使いこなすのは難しいとなってしまうのかもしれない。著者が困っているドッペルゲンガーシンドロームに対してはGist等のテキストの履歴を取るサービスが使えるかもしれない。ややタイトルがキャッチーで無い気がする。
読了日:10月11日 著者:野口悠紀雄
Coders at Work プログラミングの技をめぐる探求Coders at Work プログラミングの技をめぐる探求感想
プログラマが知るべき97のこと」という本を読んだのだが1人あたり2ページで物足りなかったので、ビッグネームが多くそれぞれ深く語っているこの本を読んだ。インタビュー形式がこの本の特徴なのだが、話のトピックがあっちこっち行くので読みにくくはある。しかし偉大なプログラマの間でも、優れたプログラム言語やコンピュータサイエンスという言葉に対する意見は分かれる、というのが発見でした。C++嫌いが多いですが90年代後半のC++は標準にコンパイラの実装が追いついていないという時代が長いので仕方のないことだとは思います。
読了日:10月10日 著者:PeterSeibel

読書メーター

9月に読んだ本まとめ

2016年9月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2839ページ
ナイス数:17ナイス

電力人物誌―電力産業を育てた十三人電力人物誌―電力産業を育てた十三人感想
この本は月刊誌の連載をまとめたものがベースになっているのもあり、松永安左エ門が作った九電力以後(戦後)しか知らないと読みづらい印象があります。人物は人物伝として読んで、日本の電力体制の推移について知りたければ別の本を読んだ方がいいと思います。とはいえ、アメリカのエジソンとテスラといった技師や科学者が送電体制を作ったのとは対象的に経営者や政治屋っぽいのしかいないというのが特徴かもしれません。浜岡原発を作った横山通夫という人が広島での被爆者というのは興味深い事実だったのですが、さらっと流されてて残念。
読了日:9月28日 著者:満田孝
「他人(ひと)からどう思われているか」気になったとき読む本「他人(ひと)からどう思われているか」気になったとき読む本感想
この類の本としては他人のSNSの付き合い方についてのアドバイスがあるのが新しいかなと思いました。
読了日:9月23日 著者:橋本翔太
みうらじゅん大図鑑!みうらじゅん大図鑑!感想
氏の最近の著書を見ていると「アウトドア般若心経」以前と以後で芸風が違うと思うのですが、この本は以前の部分に属します。個人的に面白かったのは井上陽水との対談、ダウンタウンのルーツを訪ねに行く特集、小林よしのりみうらじゅん評などです。勝手に観光協会(KKK)はこれ以前に勝手に豪邸ブラザーズ(KGB)という企画があった、というのをこの本で初めて知りました。
読了日:9月22日 著者:みうらじゅん
E=mc2――世界一有名な方程式の「伝記」 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)E=mc2――世界一有名な方程式の「伝記」 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)感想
E=mc^2という式は原爆に応用された式ということもあって、c^2という数字の大きさに目を奪われがちでしたが、エネルギーEと質量mという全く異質なものと思われていたのが等号=で結ばれたことが画期的なのだ、ということがよくわかります。本の中心は第2次世界大戦のドイツとアメリカの原爆開発競争がメインの印象がありますが、最初の100ページはE=mc^2という式ができるまでの時代背景に触れていて、電力と磁力がまったく別物と思われてた時代から話をしてくれているので、この式がいかに画期的だったかよくわかります。
読了日:9月20日 著者:ディヴィッド・ボダニス,DavidBodanis,池内了(解説)
なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫)なんでもわかるキリスト教大事典 (朝日文庫)感想
私はクリスチャンじゃないし、これからクリスチャンになる予定もないのですが、『熱狂する「神の国」アメリカ』を読んで、キリスト教そのものに興味が湧いたので評判が良い本書を読んでみました。同じキリスト教徒と言っても教義によってぜんぜん違うんだな、ということがよくわかります。ちょっと違うところでは、ケントギルバートでおなじみモルモン教キリスト教の関係などもあって面白かったです。
読了日:9月14日 著者:八木谷涼子
「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー (新潮文庫)感想
もしドラ」的な弱いチームが戦略を使って勝つみたいなのを想像していたのだが全然違いました。日本で一二を争う進学校開成高校の生徒と監督がどうやって野球に向き合っているか、のルポであるが取材している著者も困惑しているのが良いところです。戦略戦術の部分もありますが、どういうメンタルで試合や練習に向き合っているかという部分が大きなウェイトを占める印象です。自分の高校時代はここまでひたむきに部活に向き合ってなかった気がするなぁ…と思う一冊でした。
読了日:9月13日 著者:高橋秀実
ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! /原著 堀井雄二 (SE-MOOK)ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! /原著 堀井雄二 (SE-MOOK)感想
ドラクエは1〜9までやってますが、一つ一つの台詞を噛み締めるという経験はあまりないので読んでみました。タイトルにもありますが「しんでしまうとはなにごとだ」という台詞のセンスは今でこそ当たり前ですが堀井氏でなければもっと無味乾燥なものになってしまったと思います。5以前はそこそこ覚えていたのですがそれ以降は台詞量が多いせいか知らないのも結構ありました。個人的には8のククールが女性好きに走った理由が修道院でたくさんの男色を見たから、というのをほのめかす台詞があるというのが驚きでした。
読了日:9月12日 著者:.
原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)感想
私自身は反原発でも原発推進派でもないですが電気を扱う仕事をしている以上、原子力発電に対しては自分軸をもつ必要があると感じ、生まれる前ではありますが原発が日本に導入された時の事を詳しく知る必要がある、と考えました。本書は3.11前に書かれており、原発に対するある種の嫌悪感が無いというのが逆に貴重だと思います。当時の日本はアメリカよりも原発に前のめりであるとCIAが分析しており、メディアを牛耳っていた正力の働きの大きさが伺えます。あとはディズニーが原発プロパガンダ映画を作っていたというのは驚きでした。
読了日:9月9日 著者:有馬哲夫
電気革命: モールス、ファラデー、チューリング (新潮文庫)電気革命: モールス、ファラデー、チューリング (新潮文庫)感想
筆者のあとがきにもあるが電磁気学がとっつきにくいと感じた人や電気が苦手な人、電気分野に進む学生などにもオススメしたい本。電気の理論となるとどうも無味乾燥に思えるがそこの背景にある人間ドラマや時代背景を知ることで理論がぐっと身近に感じられる。最後は脳のシナプスについても考察する。欲を言えば直流と交流の話をして、エジソンは交流が理解できなかったから直流送電にこだわった(という説もある)ってあたりの話も知りたかった。同作者に「E=mc[2]」という量子力学の本の伝記もあるそうなので読んでみたいと思います。
読了日:9月1日 著者:デイヴィッドボダニス

読書メーター

プログラミングは教わらなきゃできないと思っている人達

ASCIIにJavaの入門書としてはどれが最適か?という対談が載っていた。
http://ascii.jp/elem/000/001/227/1227746/

この中で面白いと思った記述がある


矢澤: 企業の新人研修をやっていると、“ITが好き系”と、“しょうがなくITに入った系”に生徒が分かれるんだよね。新人以外では、“ほかの言語やってた人”っていうのがいる。

鹿野: IT好きの新人っていうのは、学生時代に何らかの言語でプログラミングを自分でやっていた人なのでは?

矢澤: いや、知識も経験も特にないしプログラム書いたことはないけどITに興味はある、という気持ちでIT業界にきている人たちがいるんだよな。新人研修だと、そういう人たちと、ほかに行くところがなくてIT業界に来ましたっていう人たちと、きれいに2つのグループにわかれるんだよ。

「しょうがなく」のグループはまあいいとして、問題は「ITが好き系」である。彼らはぼんやりと「プログラマ」になりたいという思いは持っているものの自分でプログラムを書いたことはない。この根本的な原因は「プログラミングはきちんと誰かに教わらないと出来ない」という思い込みがあるのではないか、という仮説を持っている。

ちょっと前に、Qiitaで「オンラインジャッジサイト一覧」という記事を書いたことがあったが、ここでやっていける人は教えなくても自分でやっていける人だろう。
http://qiita.com/shibacho/items/20f6eee42083c620b556

こういうサイトを見るにつけ、今は事情が恵まれてるなと思っていたのだが相変わらず状況は改善していないようである。プログラマとして仕事をしている人は多かれ少なかれ独学で本を読んだり、サイトを探していたりしていると思うが*1、そうなるためのステップとしては「誰かに教わらないと出来ないのでは?」という思いが根強くあるのでは、と思う。

昔はベーマガなんか読んで写経のようにプログラムを打ち込んでいれば、プログラムの構造はある程度わかったようなもんだが、今はちょっと複雑化しているし昔と違っていきなりBASICが立ち上がったりすることもない。必ず標準で入っているプログラム処理系としてJavascriptが挙げられることもあるが*2JavascriptCanvasでお絵かきといってもBASICのLINE文ほど気軽にかけないし、基本コールバック関数だから若干敷居が高い気がする。

それはさておき、こういう「なんとなくプログラミングやってみたいけど教わらないと出来ない」と考えてる人達にたいして「そうじゃないんだよ」と伝えるためにはどうしたらいいんだろうか。「○○の始め方」で検索すると山のように引っかかるが、多分彼らが求めているのはこういうハウトゥじゃないんだろう。そもそも開発環境整えるので疲れちゃうって説もある。「Androidアプリ作るからJavaやらなきゃいけない」と考えている人はモチベーションがあるからかなりいい方で、その他の人達にはどう言えばプログラマになれると伝わるのだろうか。

プログラミングは敷居が低い。パソコンとインターネットさえあれば、「自分はプログラマだ」と思った瞬間に必要な情報はすべて手に入る*3。ここまで言って上のオンラインジャッジサイトやってごらん、といってもやらない人は多分やらないだろう。もうそういう人は無理なんだろうか。

私自身は大学時代に習作として非公開ではあるがDDRのクローンゲームを作って、プログラミングってやれば出来るじゃん、と思ったクチである。一回こういう成功体験があれば全然違うんだろうが…
なんてことをつらつら考えたのでした。

*1:Stack OverflowやプログラマQ&Aサイトのコード片のコピペで日々を凌いでいる人を除く

*2:https://www.pitecan.com/papers/ProSymSummer2006/ProSymSummer2006.pdf (PDF注意)

*3:書かれるコードの品質の良し悪しはあるが、それはまた別の話

8月の読書メータまとめ

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2293ページ
ナイス数:39ナイス

ノーベル平和賞で世の中がわかるノーベル平和賞で世の中がわかる感想
解説量の増減はあるもののすべての受賞者について1ページ以上の解説をつけているのはさすがの一言。すべての受賞者となると扱っている範囲が広いしページも限られているのでこれだけで世の中わかろうとするのは難しいですが、ノーベル平和賞を軸とした近代史の入門書としてはいいと思います。ハルノートのハルさんが受賞してるってのは知りませんでした。
読了日:8月26日 著者:池上彰
韓流経営 LINE (扶桑社新書)韓流経営 LINE (扶桑社新書)感想
元々ハンゲームやネイバーが日韓の掲示板を運営してたことを知るものとしてはLINEが日本発と言い張るのは無理があるよなぁ…と思ってました。この本を読めばLINEが世界に広がる戦略と、それは普通の日本企業には無理なんじゃないかなと思わせられます。 日本のLINE社に務める社員はLINEの詳細なトラフィックデータにアクセスできないとか、ホリエモンのLINEを支えるライブドアの人達への証言は面白いです。最後の「もしライブドア事件がなかったら優秀な技術者の受け皿になっていたか?」という問いは個人的には少々疑問です。
読了日:8月23日 著者:NewsPicks取材班
居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫)居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫)感想
本書の著者が書いた「すし天ぷら蕎麦うなぎ」が面白かったのでこれも読んでみました。居酒屋の業態からよく来る客を軸にして今にも繋がる江戸文化を眺める話です。お通しは昔はなかったとか、飲食屋を減らすために幕府行った規制や規制緩和の話、また均一料金で飲める店が流行ったり、4文銭を発行しすぎたがためにインフレを起こしていたが豆腐の値段はほとんど変わらなかったなど興味深い話が満載です。歴史トリビアとしても楽しめますが、著者が余計な解釈を加えていないために読みやすい本だと思います。
読了日:8月22日 著者:飯野亮一
無限論の教室 (講談社現代新書)無限論の教室 (講談社現代新書)感想
0.999...=1の...の部分の解説に納得が行かない人にオススメ。「数学ガール」のゲーデル不完全性定理とゴールは似ている部分はあるが、あちらはガチガチの数学的な解説でこちらはなるべく哲学的な立場から解説を試みようとしている点が違う。どちらにしても難しいがサイモンシンの「不完全性定理」よりは平易に書かれてると思う。哲学の本となると過去の哲学者の言葉を平易に書こうとしてエッセンスが削ぎ落とされ誤読の再生産になりかねない本が多いが、その点でこの著者は信頼がおけるのではと思う。
読了日:8月16日 著者:野矢茂樹
人生エロエロ (文春文庫)人生エロエロ (文春文庫)感想
みうらじゅん氏の著作は何作も読んでるとかぶっている内容も結構あるわけですがそれでも面白い。一つ一つのコラムは1ページ半なので軽く読めます。阿川佐和子との対談で言っていた男女全体会議ってなんとか実現できませんかね
読了日:8月15日 著者:みうらじゅん
イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」 (講談社+α新書)イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」 (講談社+α新書)感想
テレビはスポーツとニュースしか見ないのにこんなこと言うのもなんですが、近年のテレビの「外国人から見てここかすごい日本」とか、逆に「外国はここがひどい」的な番組をほぼ毎日やってる状況に嫌気がさしてました。この本は評判がよかったので読んでみましたが、日本がやるべきはそういう外国とのアンフェアな比較やステレオタイプな分析にひたる(Woolly thinking)ではなく、数字を元にした冷静な分析であるという提言に賛同します。こういういい本を書いてくれる外国人の方がいる時点で日本は恵まれてると思います。
読了日:8月10日 著者:デービッド・アトキンソン
アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)アダルトビデオ革命史 (幻冬舎新書)感想
AVにまつわることをポルノ映画から遡ってまとめた本。ハード(カメラ,VHS,DVD)が変わったからソフト(出演女優、演出)が変わり、流通が変わっていった変遷を書いている。最近AV業界の違法斡旋で本番しない建前であるというのが驚きのニュースとして取り上げられたが、この本を読むと歴史的な経緯であることがよくわかる。「わいせつ」の定義が警察や司法の手に委ねられてるため、いびつな形で発展していったこともわかる。硬い文章に対する不評もあるようだが、個人的にはAVを軸とした映像作品のまとめ本として興味深く読めた。
読了日:8月8日 著者:藤木TDC
日本会議の研究 (扶桑社新書)日本会議の研究 (扶桑社新書)感想
日本会議という組織の源流から始まり、日本会議のキーパーソンのつながりや、新しく入ってくる人達が学生運動の2世3世であることなどを説明している。とにかく情報の裏とりが丁寧な印象を受けた。それでいて学術的な厳密性にこだわってないので読みやすかった。日本国憲法に書いてる手続きで憲法を改正することこそ、憲法を認めたのだという「反憲」という考え方は初めて知りました。あと靖国問題靖国神社と政治の結びつきの問題こそが重要であり、A級戦犯合祀は付随する問題であるという考え方を知りました。
読了日:8月2日 著者:菅野完
毒蝮流! ことばで介護 (講談社+α新書)毒蝮流! ことばで介護 (講談社+α新書)感想
おそらく唯一無二の存在であろう毒蝮三太夫の高齢者(老人)に対する接し方の本。「子ほめ」ならぬ「親ほめ」「爺婆ほめ」といった感じの本。個人的には景気が悪くなってから社会に出たせいか、いらぬ罵倒を親にすることも過去にはあったのですが、これからは「今のいい世の中を作ったのは父母のおかげだよ」という言葉をなるべくかけて上げたいと思います。「絆」なんて大上段に構えたものでなく「かまい合い」が重要だという提言は心を打つものがありました。
読了日:8月1日 著者:毒蝮三太夫

読書メーター

Win10のブートメニューの設定の仕方

以前のエントリでWin10をインストールした話を書いたのですが、これだとWindows Setupというのが起動オプションとして残ってしまいます。
これをいじるにはbcdedit.exe というツールを使うそうです。Windows Vistaから加わった機能のようですね。
わたしゃサーバー管理者でもないのになんでこんなことやらにゃイカンのだ…

それはそれとしてbcdedit はコマンドラインツールです。
スタートメニューから右クリックしてコマンドラインプロンプトを管理者権限で実行します。
その後ブートメニューを消すには詳しくは以下のホームページを御覧ください
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0905/15/news111.html

もっと詳しくbcdedit について知りたければMicrosoft Technetを見てください
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc709667(v=ws.10).aspx

しかし識別子が嫌がらせレベルに長い…こういうのくらいGUIツールつけてもバチあたらないと思うんだけどサーバー向けだからコマンドラインだけでいいやって話なんですかね。MS的には

Windows10再インストール個人的メモ

ねんがんのSSDを手に入れたぞ
http://kakaku.com/item/K0000848240/

今まで使っていたWin10(Win7からの無料アップデート済)を使ってこのSSDから起動しようと思ったのですが、簡単には行きませんでした。メディア作成ツールを使ってUSBメモリから起動してパーティション切って…という手順を踏むのが普通なのですが、古めのPCでBIOS/MBR形式でしか起動しないということもあって、うまくインストールできませんでした。以下の画像のようなエラーメッセージが出ちゃいました。ブート場所が見つからんとかなんとか。

というわけで以下の戦略を取ることにしました。

1. USBメモリから起動する
2. SSDの内容全部をMBRフォーマットする(diskpart使用)
3. USBメモリの内容をSSDにコピーする(robocopy使用)
4. パソコンの電源を切ってSSDから起動する

インストールが終わった後は、毎回Win10を起動するかSetupにするか聞かれるようになるのですが、それについては今回のエントリでは割愛します。
(2016/08/19追記: 起動時の話についてこちらに書きました。)

まず最初に2. のSSDの内容をコマンドラインツールdiskpartを使ってMBRフォーマットするですが、以下のページが詳しいです。
http://freesoft.tvbok.com/tips/efi_installation/diskpart_gpt_mbr.html
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dn336946.aspx

しかしこのページにはディスクのフォーマットやドライブレターの割当をdiskpartからやる方法が書いてません。そこら辺は以下のページが詳しいです。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0812/26/news119.html

これによって、USBメモリがC:\以外、SSDがC:\に割り当てられるのが理想なんですが、USB起動した時にUSBメモリがどこに割り当てられるかは正直よくわかりませんでした。

次に3.のrobocopyでUSBドライブの内容をSSDにコピーします。ここではUSBメモリのドライブレターをD: SSDのドライブレターをC: とします。


robocopy d:\ c:\ /MIR /R:1 /W:5
/R:1 はコピーが失敗した時の再試行回数を1回、/W:5 はコピーが失敗した時、何秒後にリトライするかを指定するパラメータです。詳しくはMSのtechnetを見てください。ちなみにデフォルト値は100万回再試行、30秒後にリトライというわけわかめな値になってます。どういう判断だ。

これでめでたくコピーが終われば、一旦インストーラを終了しパソコンの電源を切ってからUSBメモリを引っこ抜けばセットアップができるはずです。Windowsが起動してからあれやこれやのインストールをしなきゃいけないという人も多いでしょうが、それはOSが起動した後の話なので別の人に譲ります。

7月の読書メーター

2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2317ページ
ナイス数:18ナイス

オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜感想
いい意味で想像を大きく裏切ってくれた本。読書メータのレビュー等々がなければ読もうとは思わなかっただろう。面白いが本筋とは関係ない話は注釈に追いやってくれてるので本文が非常に読みやすく、また(限界はあるだろうが)オタクコミュニティに詳しくない人でもそこそこ読める本になっている。サークルクラッシャーオタサーの姫が別物を指すとは知らなかった。「リケジョは姫か」などタイトルだけで興味をひく考察。女性を囲む時の手積み麻雀の雀卓上での争いや二人羽織の話などは面白かった。次回作「ニコ生の姫」もあればぜひ期待です。
読了日:7月31日 著者:ジャンヤー宇都
情報の強者 (新潮新書)情報の強者 (新潮新書)感想
この著者は「いま世界は」でたまに見るくらいで、専門についても実はよく存じあげないのですがネットのみの情報では危ないというコピーに惹かれて読んでみました。情報弱者(情弱)という言葉は好きではないのですが…情報は何を捨てるかが大事でSNSのタイムラインだけにニュースを頼るのは危ないってあたりは同意します。紙の資料も実は不要ってのも同意します。が、情報の出し方については千差万別だと思うのであまり参考にならないと思います。あと2016年にHTMLの装飾をFONTタグでやると書いてあるのは関心しませんなぁ…
読了日:7月31日 著者:伊藤洋一
「原因」と「結果」の法則「原因」と「結果」の法則感想
自己啓発本の元祖っていうことで短いし読んでみました。キリスト教的価値観が強い気もしますが内容にはまったくもって異論はないです。著者自体が不運に見舞われた人ってこともあり、自分を鼓舞する意味で書いたのかもしれません。ただ、内容的には「運」について思索した色川武大の「うらおもて人生録」の方が東洋的考えで読みやすいかなぁと思います。
読了日:7月30日 著者:ジェームズアレン
もっと知りたい銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-2)もっと知りたい銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-2)感想
前作の「銀行窓口の向こう側」が面白かったので読みました。前作同様ナニワ金融道的な融資にまつわる悲喜こもごもや、銀行内の出世レースの話もありましたが、経営者としての立ち居振る舞いでどのように銀行員に見えるのかという視点があったのが勉強になりました(私は経営者ではありませんが)。書いてあるトピックがいつ頃の出来事なのか、またいつ頃雑誌に載った話なのか日付が無いのが唯一残念でした。が、面白い本なのでオススメ。
読了日:7月28日 著者:神保広記
チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理感想
表紙のチューブ1cmってのはちょっと大げさだが、料理のレシピってのは料理の素人が読んで曖昧な部分があるなと思う人には文系理系関係なくオススメしたい本です。薄い味付けから濃い味付けは容易だがその逆は難しいという当たり前のことから、料理のPDCAサイクルを回すというビジネス本みたいな観点まで書いてあります。料理はやってみたいけど続かないという人にもいいんじゃないでしょうか。
読了日:7月26日 著者:五藤隆介
いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学感想
この本読む前までは行動経済学って、人の行動を強引に説明するなんかいい加減な学問だなと正直思ってました。これは具体的事例に基づいて貧困、仕事先延ばし、ダイエット等々の問題を同じフレームワークで説明している本です。この本ではスラックと呼んでいる経済的余裕や病院施設の余裕がいかに重要かという話をしていますが、身近なところで言えば強引な給料天引きの貯蓄などがいかに重要かわかる本です。認知資源とか処理能力の分配という個人的には新しい概念を知ることのできた本でした。
読了日:7月26日 著者:センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール
すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ: 江戸四大名物食の誕生 (ちくま学芸文庫)すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ: 江戸四大名物食の誕生 (ちくま学芸文庫)感想
それぞれのトピックだけでも面白いが4つも入っていてお得な1冊。寿司といえば押し寿司だったので、握り寿司って案外最近なのねと思った内容でした。寿司職人に修行が必要かって議論が最近ありましたが、冷凍技術が発達した今だとまあ眉唾かなと思いました。こうして眺めてみると天ぷらに天つゆとか、すしにわさびとか、薬味に対してそばの果たした役割って大きいんだなと感じます。二八そばの語源はそば粉の割合じゃなく2×8=16文の価格であろうと考察している箇所は説得力があります(二六にうめんってのもあったそうです)
読了日:7月20日 著者:飯野亮一
銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-1)銀行窓口の向こう側 (扶桑社文庫 し 13-1)感想
まず読み物として面白い。この前に読んだ「大解剖 日本の銀行」という本が日本の銀行の現状を憂う大上段に構えた本だったが、これは対照的である。著者の実話を元に融資をめぐる人間模様の悲喜こもごもが描かれている。また時代背景がよくわかる作りなので、バブル崩壊後の貸し渋りに突入していった銀行の様子もよくわかる。だがいわゆる昭和的な価値観で結論を出してる小話もあるので不快になるものもあるかもしれない。それに目をつぶっても読む価値はあると思う。なお、P279の歌手のエピソードは元銀行マンの小椋佳のことだと思われる。
読了日:7月12日 著者:神保広記
熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教 (文春新書)熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教 (文春新書)感想
保守、リベラル、ネオコン福音派ティーパーティーの由来といった、なんとなく知ってはいるがはっきりとした定義がわからなかった言葉がちゃんと説明されていたので個人的には読みやすかった。アメリカ的な愛国心、平等、偉大なアメリカといった言葉が日本人的な感覚とはかなり違うなという印象でした。しかし読後の疑問としては、現在のトランプ旋風が宗教票とあまり結びつかないな、という気もしました。時期的に難しい話題ではあるとは思いますが…専門ではないのでこの分析がどの程度のものなのかわかりませんが面白かったです。
読了日:7月6日 著者:松本佐保
センサーでなんでもできる おもしろまじめ電子工作センサーでなんでもできる おもしろまじめ電子工作感想
結構前提としている知識は多く、C/C++PHPJavaScriptの知識が必要。要は「ソフトウェアは自信あるけど電子工作はやりたいけどできてないな…」って人向けの本です。最近はハンダ付けが完全に不要で回路作れるってのは知りませんでした。暑くなったらクーラーの電源入れるってのは自分でも実用性がありそうだったので機会があれば挑戦したいです。
読了日:7月3日 著者:

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