アマゾンプライムでドラマ「シリコンバレー」の第1シーズンを見た感想

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字幕版の方で見たけど固有名詞が翻訳されていないケースが散見されたので、吹替版の方で見るとまた違った印象になるかもしれません*1

今まで、いわゆるIT業界を描いたものとしては「バトル・オブ・シリコンバレー」が最も良いと思っていたのですが、それよりもよかったです。

本作が特徴的だと思うのはIT業界の歴史をそれなりに知ってないとわからない単語が説明もなしに使われ、さらにそのニュアンスが物語に深みを与えている点です。序盤のリチャードとアーリックのやりとりで、「どっちのスティーブ?」とか「君がジョブスで僕がウォズニアックだ」といったやりとりはApple 創業の話を知らないと意味がわからないと思いますが、登場人物の性格や役割分担を顕著に表すものです。

ある画像圧縮をプレゼンするシーンで、画像圧縮の研究やっている人なら絶対知っているレナの画像を小道具としてスクリーンに映し出したシーンでは感嘆してしまいました。知らない人が見逃しても全く問題ない箇所ではあるのですが、こういうところで手を抜かない姿勢がこのドラマが面白くなっている理由なのでしょう。

 

他にも「17歳でRailsをマスター」した人にクラウド開発を依頼する話や、スタートアップデモ会場で「Javaのバグが取れないの」と依頼する女性のセリフなど、業界の人じゃないとわからない単語がバンバン出てきます。少ない自分の知識ですが、「スティーブ・ジョブズ(2013)」や「バトル・オブ・シリコンバレー」は知らない人でもわかるように適宜、説明のシーンを入れていたり門外漢でもわかるレベルでしか話していなかったと思います。

ソーシャル・ネットワーク」にも序盤の女子学生格付けサイトを作る時に技術的な単語が頻繁に出てくる箇所がありますが、あちらは「なんか技術的なディスカッションしているんだな」以上の物語的意味がないと思うのですが(とはいえ話している内容についてはその道の人が聞いても破綻はないように思われます)、こちらは単語の意味がわかるとより登場人物像がわかって面白い。

地上波の日本ドラマと比較するのはあまりフェアじゃないと思いますが、「相棒」で鑑識が粗い画像の監視カメラをなんの苦もなく高解像度にしていたりするシーン*2を見ると、技術監修のレベルの差は歴然です。話していることの正確性は二の次で面白くなれば結構嘘ついても平気な姿勢というか…

1回30分で第一シーズンは8回。物語全体で見ればちょっとうまく行き過ぎやろ~という場所もありますが(【ネタバレ】特に重要プレゼンの前日にくだらないディスカッションから画期的アルゴリズムをひらめいて、それがぶっつけ本番で大成功するとか))30分ドラマとして面白くするには許容範囲だと思いました。あと4シーズン残っているかと思うと楽しみです。2019年には最終シーズンの第6シーズンも制作されるみたいですし。

アマゾンプライムビデオの一番のコンテンツは「有田と週刊プロレスと」だと思っていた人間でしたが、認識を新たにしたドラマでした。

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*1:「13inch Macbook pro」 が 「13インチのノート」になっているなど

*2:あれは日本企業のお偉いさんの技術理解に悪影響を与えているのでは