黒澤明監督 「生きる」

今日は映画2本立て。なぜこんなにハイペースで見ているかというと、金曜日に飲み会があるのでレンタルビデオの実質の返却期限が明日だからです。
黒澤明監督の「生きる」(ASIN:B000086F7R)を見ました。実はこれが黒澤明の映画を見たのはこれが初めてです。本当は「羅生門」を借りたかったんだけどなかったのでこれにしました。
借りた理由はDVDの裏に書いてあったストーリー概要を見て面白そうだったから。あれを見て「面白そう」と思う時点でかなりズレている気はしますけどね。
テーマとして流れるものは凄く重いけれども、ユーモアたっぷりに描いているのがすごい。タイトルで敬遠する人が多いと思いますが、面白いので是非見て欲しいと思います。でも、人によっては後半が単調に思えるのは仕方ないのかもな、とも思います。ラストとか、この物語をどうやって終わらせるんだろうと、ありがちなヒューマニズムで終わったらやだなぁ、とか思っていたらあんな凄い終わり方をするとは思わなかった。別に奇抜な仕掛けとか、大どんでん返しがあるわけではないけれども、見た後に清々しい気持ちになれました。面白かった。
印象に残った台詞として、開始41分辺りの売れない小説家の台詞


なるほど、不幸には立派な一面があるって言うが本当ですな。
つまり不幸は人間に真理を教えるんだ。
あなたの胃癌はあなたの人生に対する目を開かせた。
いやあ人間は軽薄なもんですな。
生命がどんなに美しいものかってことを、死に直面した時に初めて知る。
ってのと、1時間14分あたりの主人公と役所の同僚のやり取り

主人公
「つまり、なぜわしが30年間、ミイラのようになって働いたかと言うと
(中略)
なぜわしがミイラになったかというと、
それはつまり みんな、せがれのためを思って。
ところがせがれは全然そんなことは、少しもその・・・」
同僚
「でもその責任を息子さんに押し付けるのは無理よ。
だってそうでしょう。
息子さんがミイラになってくれって頼んだんなら別だけど。」
ってのが印象に残りました。自分の親もそんなこと思っているのかな?今度、小一時間問い詰めてみようっと。
テーマとしては普遍的なものがあるので今でも通用すると思うけど、これが52年前に発表された作品とは思えないほど面白かったです。オススメ。