NHKスペシャル 「サイボーグ技術が人類を変える」

http://www.nhk.or.jp/special/libraly/05/l0011/l1105.html
今、総合テレビの再放送見終わりました。面白かった。
電極を脳に刺すマトリックスの世界が既に現実のものになっている、という驚きでいっぱいでした。本当にSFの世界が現実になったという感じです。
進行役は立花隆さん。サイボーグ技術のまとめはこちらが詳しい。
最初は脳の電気信号を外部から電極を指して制御することによって抑制し、パーキンソン病などを治療するという主に医療関係の話が主でしたが、その次に脳に刺した電極によってラットを制御するというアメリカのDARPAの取り組みが紹介されてました。
サイボーグ技術というか、Human Brain Interfaceなわけですが、技術の進歩同様、あらためて人間の適応能力の凄さに驚きました。機械の手をつけた人は最初はとまどうけれども、人間が手を脳で制御するうちに人間が慣れてくるという話がありました。言われてみればそうなのかも、と思いますが、具体的にMRIの脳画像で、その慣れ具合の違いを見せられると、なるほど納得という感じです。
これらのサイボーグ技術は治らない脳の病気も治せる夢の技術であるとはいえ、こういう番組では手術のリスク等をあまり説明せずに良い面ばかりを強調するので、現場のお医者さんとしては大変なこともあるのかなぁ、と思いました。
目の見えない人が(かなりの制限つきながら)見えるようになったり、パーキンソン病が治ったり、人類にいい面も紹介しつつ、最後はDARPAの研究でラットを脳に刺した電極で制御する(ロボラット)という軍事利用の面を紹介していたあたりバランスの良い番組構成だったと思います。まぁ、それでも、ロボラットインパクトは凄く、もし人間に応用されたら立花隆が言う所の「スーパー殺人マッシーン」が出来てしまうのは想像に難くありません。
一方で、医療などでどうしてもこの技術を欲しがっている人を除き、万人が使う技術になるか、ということを考えた時には疑問符が付きます。そりゃ、脳で色々なものが動かせたら凄いけど、そのためだけに脳に電極を埋め込む人が果たして何人いるのだろうか、と。ましてや、いたところで患者の興味本位だけの電極手術をやる医者がいるだろうか、ということを考えました。
でも、身近な技術になりえないからこそ、とんでもないところで技術の応用が進むかもしれないとも思います。
米国のDARPAのような体制は、スポンサーが国だし、技術の応用がはっきりしているからこそお金も出やすいし、研究でフォーカスすべき場所も分かりやすいから研究が進むと思うけれども、軍事利用だけに終わるのはやめて欲しいものです。