新社会人の自殺

コラムセクションを作りました。本当はWinnyの現状と今後の分析について書くつもりだったんですが、それよりも書かなければいけないことが起こったので、そちらを書きます。
今回のテーマは「新社会人の自殺」です。私がこのテーマについて書くきっかけになったのは親父の会社の入社2年目の人間が自殺したからです。親父は、私よりも同じ年の生まれの11ヶ月年下の人間が自殺したこと、その人は採用担当として親父が採用した人であること、両親の年が親父とあまり変わらない、という事実にショックを受け、私に電話してきてこのことがわかりました。
その人は東京出身で1浪して、とある大学の経済学部を卒業し、親父の会社に新卒で就職したそうです。その後、大阪の営業所に転勤になり、初の一人暮らしを始めた矢先の出来事だったそうです。親父はその会社の採用担当もやっていて、自分が採用した人だったので責任を感じたみたいです。一人暮らしを始めたという辺りが、今の自分と境遇が似ているのでその事について心配して電話かけたんじゃないかなと思います。
「こういう事が起こると、大学時代一人暮らししていなかった人は採用するべきじゃないんじゃないかなと思ってしまう」なんて言っていました。自分は、それはケースバイケースであるといいましたが、採用担当の採用基準はこういうことによっても左右されるのだなぁ、と思った出来事です。レアケースかもしれませんが、就職活動中の皆様にとっては、本当に自分のせいではない所で合否が決まることもあるので、採用に落ちたからといって、くよくよすることではない、と言いたいわけです。
話がややそれました。なぜ、その彼が自殺したのかはわかりません。しかし、この事件でMr.Childrenの「くるみ」を思い出しました。ちなみに「くるみ」には「来る未」、つまり来るはずだった(来ると期待していた)がこなかった未来という意味があります(id:shibacho:20040506)。


ねぇ くるみ
誰かの優しさも皮肉に聞こえてしまうんだ
そんな時はどうしたらいい?
良かった事だけ思い出して
やけに年老いた気持ちになる
とはいえ暮らしの中で
今 動き出そうとしている
歯車のひとつにならなくてはなぁ
(中略)
今以上をいつも欲しがるくせに
変わらない愛を求め歌う
そうして歯車は回る
この必要以上の負担に
シギシ鈍い音をたてながら
現在の不況の中で、希望が通らず納得できずに就職した人は大勢いると思います。そういう意味でこの歌詞のような境遇の人は多いのではないでしょうか。それこそ「ギシギシ鈍い音をたて」ている状態です。しかし、Mr.Childrenはこの曲の最後でこのように歌っています。

引き返しちゃいけないよね
進もう 君のいない道の上へ
心からこう思うためには、先ほどの「ギシギシ鈍い音をたて」ている状態から相当のギャップがあります。今の自分がこのギャップを埋められたのは去年の母の死と悪性腫瘍で倒れたという、2つの大きなイベントをくぐりぬけたからだと思います。特に母の死に関して言うと、ある日、某社の会社説明会(しかも一般的に広くやっているもので今考えれば行く必要は全く無かった)に出席するためにビックサイトに行ったことがありました。その説明会に行く前は、母は簡単な会話はできるほどだったので、まだ峠は今日じゃないだろうと安心していたのですが、説明会から帰ったら苦しそうに呼吸していて、話なんて出来ない危篤状態でした。これで、その会社に合格すればよかったのですが、1次面接であっさり落とされました。誰にもこのことは言っていませんが、はっきりいってこの出来事には相当やられました。しかし、そんな理不尽なことも受け止めらるようになったからこそ、今の自分があると今では思います。
自分の場合は人生の一大イベント級のことが立て続けに起こったのですが、そんな人はなかなかいないでしょう。それでは、どうやって「引き返しちゃいけない」と思えるようになればよいのでしょうか?そのヒントをMr.Childrenは次のように歌っています。

「どんな事が起こるんだろう?」
想像してみよう
納得して就職できなかった人も、やっていくうちにその仕事が好きになるということがあります。しかし、最初のうちはなかなかそうは思えないでしょう。そんな中で、今後起こることや未来の自分を想像することによって、日々を乗り切ることが出来るのではないでしょうか。そこで考える未来の自分はみじめなものでしょうか?決してそうではありません。誰にもナルシストな部分はあり、かっこいい自分というのを思う時というのはあるはずです。その自分が子供の時に一番最初に考えていたものからは段々変わってくるとは思いますが、かっこいい自分であることには変わりはないのです。
自殺を考えてしまうほど鬱な気持ちになっている全ての人に言いたい。決して今の状況が未来永劫続くわけではない。そのうち必ず事態は好転する、と。その順風満帆な未来を想像してみるのも悪くないんじゃないか。