金谷健一 これなら分かる応用数学教室 〜最小二乗法からウェーブレットまで〜

プログラマ系blogを読んでいた所、各地で評判が良さそうだったので、読んでみました。

これなら分かる応用数学教室―最小二乗法からウェーブレットまで

これなら分かる応用数学教室―最小二乗法からウェーブレットまで

今まで自分が教科書で名著と思っていたのはキーポイント線形代数(ASIN:4000078623)だった。やはり具体的な計算例が豊富だったというのが「キーポイント」だったと思う。
この本は、理論的な説明と例の他に、先生と生徒の対話形式で読ませる「ディスカッション」というコーナーが頻繁に出てくる。これが、読み物として面白いのと同時に、定理を理解する非常にいい助けとなっている。もちろん、各章のつながりが明確であるという点も見逃せない。最小二乗法→直交関数展開 と持っていて、直交系の代表である周波数系の話をして、フーリエ解析を説明し、離散の世界へ持っていく。その後、線形代数の話である固有値問題をして、主軸変換(主成分分析)、最後に最近の研究トピックとしてウェーブレット変換を説明する。各章のつながりが明確であると同時に、各分野ごとの定理の類似性などに注意して話を進めている(「ディスカッション」している)ので、理解が非常にしやすい。
自分は既にある式をプログラムすることは得意だが、式展開や定理をイメージで捉えるとなると敬遠しがちであったと思う。そういう人こそ、この本を読むべきだ。情報数学にたずさわり、基礎力を付けたいと思う全ての人間はこれを読め!