「抗がん剤イレッサで副作用死」遺族、国と販売元を提訴

イレッサの問題は、この日記でも何回か取り上げてます。自分の基本的な考えとしては、イレッサの審査の不手際を咎めることにより、今後の新薬の認可に遅れをきたすのはよくないんじゃないか、というものです。6月21日の日記あたりにそのことを書いています。今回の提訴は、6月21日の申し入れ書に続くもののようですね。
アサヒ・コムの記事を見ると、イレッサの具体的な被害内容が書いてある。

訴状によると、男性は肺がんのため02年4月から京都府内の病院に4カ月入院し、別の抗がん剤放射線治療が効果を上げ、自宅に戻った。9月初めに同府内の別の病院で医師に勧められてイレッサを1週間服用したところ、まもなく呼吸困難に陥り、約1カ月後に副作用の間質性肺炎で亡くなった。

確かに、これはかなり悲惨な例だなぁ。しかし、「効果を上げ、自宅に戻った」とあるが、その後医師に「イレッサを勧められた」ということを考えると、がんはあまり小さくなっていなかったんじゃないかと推測できる。人間の臓器は浴びても良い放射線の量が決まっているので、放射線治療は継続的に続けることが難しい。飲み薬で外来でも治療が出来るイレッサが、肺がん治療の救世主みたいに扱われていた時代背景を考えると、医師がイレッサを勧めたのも納得できる。
ただ、イレッサを服用したことにより、どのくらい寿命が縮まったかって厳密には絶対に評価出来ない。イレッサを服用したから、死期が早まったと遺族が考えるのはもっともだが、実際にイレッサを服用しなかったら、あと何年間生きられたんだろうか、というのは過去を変えない限りわからない問題なんだよね。
ただ、アストラゼネカ社の審査が、実際にずさんだったのかどうかはちょっと分からない。この裁判には注目したい所だ。