エバンジェリスト(伝道師)というお仕事

エバンジェリスト(伝道師)とは特定の人にしか出来ない仕事だろうか?
お世話になった人が、出向ということで別会社に行くので、その送別会が横浜でありました。さすがの人徳というか、派遣のお姉さま方もたくさんいらしてくれて、楽しい飲み会になりました。といっても、話すメンバーはいつも通りだったのですが・・・
Hirasoirさんにも半年振りくらいに会いました。リアルな会話の中で「エバンジェリスト」って単語が出てきたのは初めて。さすが、勉強していらっしゃるというか、懐の深さを感じました。
エバンジェリスト」って要は技術の伝道師みたいなことなのですが、それって特定の人にしか出来ないことなんだろうか?という問題がある。自分はその問題に対してはYesと答えたい。技術をうまく伝えるというのは、技術を開発することとは別のスキルが要求される。色々あるが代表的なものを挙げれば、技術を知らない人の気持ちを知るということだ。自分の場合は音声認識業界なのだが、音声認識がどう実現されているか、というのは技術的にも日常の与太話としても、結構面白い話である。
しかし、それを知らない人に伝えるのは難しい。私が音声認識を研究し始めた時には既に、ある程度の枠組み(具体的には音響モデルとか言語モデル)は出来上がっており、それが当たり前のものとなってしまっているからだ。自分では当たり前と思っていることを解きほぐして他人に伝えることほど難しいことはない。仮定の話しだけど、4本足で歩いている生物に対して、2本足で歩く歩き方を教えろといったらこれほど難しいことはないだろう。
わざわざ「エバンジェリスト」って新しい単語が色々なところで散見されるようになったというのは、ただの流行だけではないと思う。インターネットで得られる情報のスピードが増してくると、技術そのもの以上に技術を効率よく伝達することの重要性があらためて認識されている世の中になってきているんだと思う。好きに技術を開発し、「そんなこともわからないんですか?」といって、相手より優位に立ってきた時代は終わりを告げ、いかに自分(他人でもいいが)の技術を他人にわかりやすく伝えてアピールするかが求められる時代になったんだと思う。
そんな世の中にあって、エバンジェリストという仕事でプロを目指すには、一般的な視点を持つという難しいスキルがいるし、時には人間関係も必要だったりするし、大変な仕事ではないだろうか。今すぐ自分が、このblogを使ってインターネットの世界だけでなくリアルの世界でもエバンジェリストを名乗れるとは思えないが、将来的にはそういうキャリアも目指していきたいなと思う。