現代落語論 - レビュー
さすが立川談志師匠。とにかく凄い。1965年に書かれたとは思えない。現代でも十分通用する話がそこかしこに散りばめられている。
- 作者: 立川談志
- 出版社/メーカー: 三一書房
- 発売日: 1965/12/10
- メディア: 新書
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1965年の時点で、テレビでの落語について言及されている点も凄い。現代の「エンタの神様」に代表されるような、わかりやすい笑いばかりになることへの警鐘を鳴らしている。
また、寄席に来て古今亭志ん生の落語を聞く30代会社員の態度がなっていない、という。「最近は上司の教育が悪いのか金を払えば良いと思っている」などなど。
出てくる登場人物はすでに亡くなられた人が多いものの、今世紀に書かれたんじゃないの?と勘ぐりたくなるような内容。
安易な若者批判に対する反論としては根拠になりえる書物だろう。
あと、現在はお体を悪くされてしまったが、笑点の司会として長いこと活躍された三遊亭円楽師匠について好意的に書いている。特に円楽師匠は麻雀が強いっていうのは知らなかった。
個人的には「こども落語」を読んだり、国立演芸場に子供の頃何回か行ったきりで、落語については深く知らなかったんだけど、これを見て俄然寄席に興味が出てきた。
ちなみに、この本はBSハイビジョンの立川談志10時間スペシャルで興味を持ったのですが「落語とは人間の業を肯定することである。」って文句は出てこなかった。この続編である、「あなたも落語家になれる」、を読まないとダメかもしらんね。
- 作者: 立川談志
- 出版社/メーカー: 三一書房
- 発売日: 1985/03/25
- メディア: 単行本
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個人的にズシッと来た文句はP.200。
自分流にやりよい演出というものは八〇%の危険をはらんでいて、うっかりすれば安易なテクニックを使うようになってしまう。