フライ,ダディ,フライ

今日はこれと姑獲鳥の夏を見た。
堤真一の役者魂を感じたが、はっきりいって個人的にはイマイチだった。ちなみに、原作は読んでいない。
以下、ネタバレ付き感想。
なんか、メインのテーマとしているものはいいんだけど、中途半端なエピソードの挿入でメインテーマそのものが陳腐に見える印象である。おそらく原作は面白いのだが映画化にあたって、情報をそぎ落としたがために、生きるエピソードも生きなくなってしまいつまらなくなった映画の典型のように感じる。
特に疑問なのが5点
1.(一番致命的)スンシン達が鈴木を鍛える必然性みたいなものがまったく感じられない
賭けの対象にしたかった、というだけでは、包丁もって乗り込んだ鈴木の面倒を見る理由としては弱い気がする。おそらく、原作ではもっと深い理由があると思われるが、映画中でも語って欲しかった
2.岡田君演じるスンシンが在日朝鮮人というエピソードは必要だったのか?
どうやら、原作ではこの辺りが深く書かれているようだが、映画の中ではほとんど語られていない。チープな木の上のセットでのいきなりの独白だけである。
3.石原との最終対決の前に娘が暴行された時の悲惨な具体的なエピソードを入れる必要があったのか?
最終対決を引き立たせるためかもしれないけれども、本当にあのエピソードを入れる必要があったかどうかは疑問。また、作中で語るにしても、トレーニングをしてくれた仲間がわざわざ会わせるのは不自然。鈴木が家に帰る前の歩道橋などでばったり会って語り始めるという設定にした方が生きると思う。
4.最終対決前の休養日の鈴木の不摂生ぶり
感動的なエピソードを入れるにしても、最終対決前の夜中に娘のビデオ見てちゃだめだろ。石原の対決に備えて寝ないと。鈴木は何のためにスンシン達が休養日を設定したと思っているんだろう。
5.タイトルにもなっている「フライ,ダディ,フライ」のフライの由来について割かれている時間が少ない
モンゴル相撲や鷹の舞などのエピソードはなんかとって付けた印象である。映画のタイトルにもなっているフライの由来なのに・・・

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あと細かい所は突っ込みだしたらキリがないのでこの辺で。
細部のエピソードは面白いのがあるんだけど、メインとなる柱がしっかりしていないので全体的にチープな印象。せっかくのミスチルの詞がもったいない気がします。