祇園の課外授業 / 岩崎峰子 著

旅行中に読みました。
自分の読書歴の中ではかなり異質な部類に入る本ですが、実はこの著者の話を聞いたことがあって、それで興味がわいて読んでみました。

祇園の課外授業

祇園の課外授業

祇園というのは一見さんお断りの凄く特殊な世界。誰かの紹介がないと座敷をまたがせてもらえない。今で言うところのSNSに近い物があるが、その敷居の高さはSNSの比ではないです。
この本に書かれているのは、いずれも超一流の人たちばかり。その人たちとのエピソードが著者のエッセイという形で書かれています。
アマゾンのレビューにもありますが、この人は元芸妓さんなのに、お座敷のことをしゃべり過ぎという批判があります。祇園のお座敷のことは秘め事でなくてはいけないということです。自分もその意見とやや同調するところがあるのですが(特に谷川徹三さんのエピソード)それでも、今まで隠されていた祇園のことが垣間見られて興味深い本です。
京都の祇園には日本の魂が息づいているような気がします。この著者は「伝統は守りすぎると何かを失い、守らないと消えてしまう」と述べており、伝統を守ることのバランス感覚を訴えつつも、あとがきで「和魂洋才」というの大切さを訴えています。明治以来、日本人は「洋才」を求めつつも「和魂」をおろそかにしてきたのではないかと。
時代によっていろいろ形は違えども、時代を越えて守らなければいけない信念や考え方は依然として存在するのではないかと思う今日この頃です。