学者のウソ

学者のウソ [ソフトバンク新書]

学者のウソ [ソフトバンク新書]

全体的に書き散らしている印象で、「で、結局何がいいたいのよ?」という感じの本。はっきりいってわかりづらい。

学者のことだったら無条件に信じる、という人に対して警鐘を鳴らす意味はあるだろうが、それ以外については。。。誰に向けた本か、というのもイマイチわかりづらい。

個人的に一番良くないと思ったのは第5世代コンピュータ*1リアルワールドコンピューティングの失敗について触れた下り。その時の学者は研究内容の先に鉱脈はない、と気づいていたはずだ、と断じているが何を根拠にしているのか。それをはっきり書くべきだし、書けない事情だったらその内容を持ち出すべきではない。そういう内容が多いため無駄に分厚い印象を受ける。

全体に流れる雰囲気として、学者の研究の取り組みに対して、後だしで批判しているという態度に共感できない。ま、恣意的にあらゆる現実をすべて自分の方へねじ曲げる学者もいるだろうけど、良心的な学者が出した結論まで、ウソと断じかねられない勢いなのが気になる。と、思っていたのだがそんなことはなくて、4.2節の言論責任保証の仕組みへの取り組みで、その状況を打破しようと考えているようだ。是非、取り組みに期待したい。自分は情報系なので、あまりピンと来ませんでした。

*1:第5世代コンピュータに鉱脈がない、とは言っていませんでした。訂正してお詫びします。