なぜ大人がDSにハマルのか? - 書評

タイトルに惹かれて購入。
良い点と悪い点、どっちから先に書こうか迷ったが、まず悪い点から書くことにする。

欠点その1:著者がマーケティング会社の社長である

著者は細川敦というメディアクリエイト代表取締役であり、参考文献もすべて自己引きである。そのため、かなり眉唾もので読む必要がある。

欠点その2:視点が日本国内にしか行っていない。

これが本書の最大の欠点であると考える。
例えば、Halo3のHの字も出てこないし、DDRが日本で廃れアメリカでウケている理由について全く答えていない。日本国内は今後じり貧になっていくのは目に見えているので、この本に書いてあることを真にうけるのは危険。もし、現在のサードパーティの2匹目のどじょうを狙いまくる迷走ぶりの諸悪の根源がこの著者だったとしたら、それはそれで問題だと思う。

まとめると、エンジニア的に見れば表層しかなでていなくてあとづけの理論じゃねーの、って思いから一歩も抜け出せていないのである。著者的には枝葉末節かもしれないけど、「ポケモン」が「カードヒーロー」の反省から生まれた*1なんてことはまったく書いてないし。

最終的には「要はゲームバランス*2とそれにかけるコスト」以上のことはなにも言っていないのである。

ただ、批判するだけなのもなんなので良い点も書いておこう。

まず、成果主義とゲーム会社との相性がよくない、という指摘をしていること。昔、ナムコが成果主義を導入してテイルズシリーズだらけになったってことがあったが、今後、ゲーム会社の開発者の育て方に対して旧来の考え方じゃダメだ、と問題提起しているところは評価できる。
また、エンジニア的に見れば、スーツ族がどの程度の認識でいるのか眺めるという意味においては良い本だと思う。あくまで参考資料として、ね。「この程度の認識なのかよ」と逆に激怒するかもしれないけど。
あと、いわゆるライトユーザーvsヘビーユーザという単純な2元論よりかは一歩先に進んでいるかな、という気がします。

個人的には「iPhone衝撃のビジネスモデル」の方が発見が多かったです。これの書評はまた別の機会に。

iPhone 衝撃のビジネスモデル (光文社新書)

iPhone 衝撃のビジネスモデル (光文社新書)

*1:どっかにソースがあったと思うんだけど、、、

*2:ユーザーエクスペリエンスと言い換えてもよいかもしれない